同人誌は何部売れば元が取れる?損益分岐の計算と Excel の式
最終確認日:2026年10月(BOOTH の手数料)
- 元が取れる部数は「かかったお金の合計 ÷ 1部の頒布価格」を、小数点以下を切り上げた数
- かかったお金には、印刷費だけでなく出展料・交通費・備品も入れる。入れ忘れると「元が取れたつもり」になる
- 通販で売る分は、価格から手数料を引いた手取りで割る。Excel なら
=ROUNDUP(費用合計/1部の手取り,0)
「損益分岐点」とは:赤字と黒字の境目
簿記の世界では、売上とかかったお金がちょうど同じになり、利益が0円になる点を損益分岐点(そんえきぶんきてん)と呼びます。同人誌なら「この部数を売れば、かけたお金が戻ってくる」という部数のことです。
同人誌は、印刷する前に部数を決めて印刷費を払うので、印刷費は売れた部数に関係なくかかるお金(簿記でいう固定費)になります。そのため、計算はとても単純です。
元が取れる部数 = かかったお金の合計 ÷ 1部の頒布価格 (割り切れないときは切り上げ)
切り上げるのは、「64.4部」のように半端な部数は売れないからです。64部では少し足りないので、65部が答えになります。
計算例:800円の新刊を100部刷った場合
次のような新刊を考えます(金額は計算のための例です)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 印刷費(100部) | 40,000円 |
| 出展料 | 7,000円 |
| 交通費(往復) | 3,500円 |
| 備品(値札・袋など) | 1,000円 |
| 合計 | 51,500円 |
- 印刷費だけで考えると:40,000円 ÷ 800円 = 50部
- ほかの費用も入れると:51,500円 ÷ 800円 = 64.375 → 切り上げて 65部
印刷費だけで考えると50部で元が取れたように見えますが、実際にはあと15部売らないと赤字です。イベントのたびにかかる出展料や交通費を忘れずに入れるのが、いちばん大事なポイントです。
確認のしかた:65部 × 800円 = 52,000円で、51,500円を超えます。64部だと51,200円で、300円足りません。
1部ごとにかかるお金があるとき
購入特典のペーパーやおまけのように、1部売るごとにかかるお金(簿記でいう変動費)があるときは、価格からその分を引いてから割ります。
元が取れる部数 = 固定でかかるお金 ÷(頒布価格 − 1部ごとにかかるお金)
上の例で、1部ごとに30円のおまけをつけるなら、51,500円 ÷(800円 − 30円)= 66.88… → 67部になります。
通販(BOOTH)でも売るときは「手取り」で割る
通販サイトで売ると、売上から手数料が引かれます。BOOTH のサービス利用料は、2025年10月28日から「5.6% + 45円」(小数点以下は切り上げ)と案内されています。
800円の本なら、手数料は 800円 × 5.6% = 44.8円 → 切り上げて45円、これに45円を足して90円。手取りは710円が目安です。
- すべて通販で売る場合:51,500円 ÷ 710円 = 72.5… → 73部(出展料・交通費がかからないなら、40,000円 ÷ 710円 → 57部)
同じ800円でも、通販の分は即売会より多く売らないと元が取れません。送料・梱包材や、BOOTH の倉庫から発送する場合の倉庫発送手数料もかかるので、通販用の費用は別に足して計算します。手数料の対象になる金額などの細かいルールは、BOOTH の公式のお知らせ・ヘルプで確認してください。
Excel で計算する式
セルに次のように入れておくと、価格や部数を変えるたびに、元が取れる部数がすぐにわかります。
| セル | 入れるもの | 例 |
|---|---|---|
| B1 | かかったお金の合計 | 51500 |
| B2 | 1部の頒布価格 | 800 |
| B3 | 1部ごとにかかるお金(なければ0) | 0 |
| B4 | 元が取れる部数 | =ROUNDUP(B1/(B2-B3),0) → 65 |
ROUNDUP は「指定した桁で切り上げる」関数で、最後の 0 は「小数点以下を切り上げて整数にする」という意味です。
「1万円は利益を残したい」というときは、B1 に目標の利益を足して =ROUNDUP((B1+10000)/(B2-B3),0) とすれば、目標に必要な部数(例では77部)が出ます。
刷る部数を決めるときの考え方
印刷所の料金は、たくさん刷るほど1部あたりが安くなることが多いです。ただし、刷る部数を増やすと、印刷費の合計は増えます。売れ残れば、その分は戻ってきません。
- 元が取れる部数が、刷る部数に近すぎないかを見る:100部刷って65部で元が取れるなら、残り35部が利益になる余地。90部売らないと元が取れないなら、ほぼ完売が前提になる
- 過去の頒布数を記録しておく:前回の実績があれば、「何部なら売れそうか」を予想しやすくなる
- 既刊の在庫も考える:次のイベントで売れる分は、まだ回収できる見込みがある
イベント当日の釣り銭の用意については、即売会の釣り銭はいくら用意する?頒布価格別の早見表にまとめています。
頒布物ごとに価格・制作部数・制作費を入れると、1部あたりの原価と「元が取れる部数(損益分岐)」を自動で計算します。頒布数を入れると在庫と回収状況(「あと○円で回収」)も表示され、イベントごとの出展料・交通費を引いた利益や、釣り銭の目安もまとめて管理できます(マクロ不使用)。
まとめ
- 元が取れる部数 = かかったお金の合計 ÷ 1部の頒布価格(切り上げ)
- 印刷費だけでなく、出展料・交通費・備品も入れる
- 1部ごとにかかるお金があれば、価格から引いてから割る
- 通販の分は手数料を引いた手取りで割る(BOOTH は 5.6%+45円)
- Excel なら
=ROUNDUP(費用合計/(価格-1部ごとの費用),0)
- BOOTH 公式のお知らせ サービス利用料改定のお知らせ(5.6%+45円、2025年10月28日から)
- BOOTH 公式のお知らせ 新しいサービス利用料の適用日についてのお知らせ
※ 計算例の金額は説明のための例です。同人活動の収入の税金の扱い(確定申告が必要かどうかなど)は、税務署または税理士にご確認ください。